映画"この世界の片隅に"鑑賞。
観てる最中・観た直後はとにかく胸いっぱいで言葉がうまく出てこなかった。
ただただ"観に来て良かった"と思えた。
半日過ぎて、ようやく言葉が見つかり出した。
生命、生活、日常の瑞々しさに溢れた映画だった。
冒頭、最初の人物描写が始まった瞬間、"あー観に来て良かった"と思えた。
劇中、義父がすず達を空襲からかばっている最中に眠りにつく場面(睡眠的な意味で)、
劇場ではクスリと笑いが起きるようなシーンだったんだけど、
私はあの場面で涙腺弛緩しちゃって、以降ことある毎にスクリーンが滲んでた。
主人公のすずさんは"絵を描く"行為を伴う人物なのだが、
私が"絵を描く"行為に日常性も非日常性も感じやすい人間なこともあってか、
すずさんのその行為に対しても言葉にしきれない情動を揺さぶられた。
あのシーン良かった このシーン良かった、みたいなことはどんどん溢れてくるのだけど、
総体として何かを語ろうとした途端、
自分が抱いている思想の余計な色をすずさんの絵にも無意識に載せてしまう気がして。
せっかくのこの作品の機微を台無しにしてしまうんじゃないか、
と思うと、言葉にすることを躊躇してしまうこの感覚。
これからも大事にしていきたいと思った。
野暮を承知であえてひとつだけ言うなら、
この作品は、戦中に題をとりながら驚くほど説教臭さが無かった。
すずさんの この当時の"日常"に戦争が割り込んできたに過ぎない
といえる見せ方に徹されているので、
(戦中ゆえのショッキングな出来事は勿論避けられないのだけど、それでもなお)
戦争映画に対する身構えみたいなものは一度緩めて素直に感じてもらいたい、
そう思える作品だった。
余談だが、
平日昼に観に行ったこともあってか
観客の平均年齢がかなり高めだったのも印象的だった。
プリキュア映画を観に行った時との比較を無意識にしてしまった。
鑑賞マナーは大差なかった。
余談2。
観終わった直後は胸いっぱい過ぎて
"この作品リピート鑑賞できるヒト達はどんだけタフな精神の持ち主なんだ"と思ってたけど、
半日かけて反芻してたら すずさんの日常をもう一度確認したい感が出てきたので、
今ならリピートする気持ち分からなくもない。
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